誰に見て欲しいのか、誰に見てもらうべきかを考える

Webサイトを作るとき、最初にやるべきことは「誰に何を伝えるのか」を決めるという作業です。この中には「誰に見て欲しいのか」を考えるステップと、「何が伝わって欲しいのか」を考えるステップ、そして「期待通りに伝わるためには何と書くべきか」の3つが含まれています。
細かく言うとそれぞれの間や後ろにもいろいろあるんですが、いったん割愛。

ここでとっても大切なのは「伝わってほしい情報」と「そのために使う言葉」は違うというところです。稀に同じこともありますが、ほとんどの場合、この二つは結構違います。なぜなら、「伝わって欲しい情報」とは、発信者(つまりあなた)の視点で描かれるイメージであり、「そのために使う言葉」は受け取る相手の視点で描かれている必要があるからです。
だんだんややこしくなってきましたね?

見て欲しいのは誰?

さて、まず初めに決めることは「誰に見てもらうのか」です。普通に考えると、商品を売りたいんだからお客さんだよとか、新卒採用を強化したいんだから大学生だよとか、ポンポン出てくると思います。
しかし、それだけではダメなんです。

例えば、お客さんってどこにいる誰でしょうか。年齢は?仕事は?興味は?この三つだけでも相当違いますよね。会社に何かを売りたいのであれば、どんな会社で、その中の誰に見てほしいのでしょうか。

その人は自分で意思決定する権限があるのでしょうか、それとも調査だけして上申する立場でしょうか。買ってほしい商品について結構詳しい?そうでもない?そもそもその商品を本人がほしい?(買ったら嬉しい?)、それともただ仕事で探しているだけ?

どうですか。ちょっと考えただけでも、100くらい質問が出てきそうです。それらをできるだけちゃんと決めていくことが大切です。

世界中の誰からも愛されるより、特定の相手だけに向けて書く方がいい

ここまで「誰」の決め方を書いてきましたが、その「誰」に該当する人たちの中でも、どんな会社にとっても「望ましい相手」というのがいるはずです。単純にクレームになりにくいとか、プロジェクトがスムースに進むとかだけでなく、互いの価値観が一致しているなども含めて望ましい相手です。

例えばお客さんの中でも、一番相性の良い(お客様も自社も一番幸せになるという意味)組み合わせがあるはずです。わからないなら、これまでのお客様で、お付き合いも長く、互いの満足度が高く(もちろん売り上げも大きい)、長期的な信頼関係を築くことができている(個人なら常連さんでしょうか)お客様っていませんか。

その人(会社)を思い浮かべると、なんとなく見えてくると思います。できれば複数見つけることができれば、望ましいお客様に多くみることができる「共通点」がわかってきます。

ちょっと荒っぽく言えば、それらの特徴を持っている人が、伝えたい「誰」だということができると思います。

何を伝えればいいのか、その人の気持ちで考える

ここまでできたら、あと少しです。その人が嬉しいこと、いい意味で驚いてくれること、今まさに欲しいことはなんでしょうか。考えてみると、見てほしい人が違えば、伝えるべきメッセージも、伝えるために使う言葉も全然変わってくると思いませんか。

見てもらいたい人に合わせたメッセージを、見てもらいたい人に響くように伝えなければ、伝わるわけがありませんよね。伝わらないと感じる原因のほとんどは「相手がわかってくれない」のではなく、「わかってもらうための努力が足りない」からなのです。

簡単そうに言っていますが、これが実際にはなかなか難しく、自分の商品に対して完全に客観的である必要があることから、社外の人と相談しながら進めることをお勧めする作業です。

見て欲しい人が複数いる場合はどうするの?

ここまで、散々相手を見極めてその人に合わせろと言っておきながらなんですが、実際にWebサイトを作るときに、相手が一人ということはまずありません(私たちもこれまで一度も経験がありません)。

ではどうすればいいのでしょうか。
それは、3種類の人がいるのであれば、それぞれに対して伝えることと伝わる言葉を考えるということです。
また、仮に3種類(5種類でも同じです)の人がいる場合に、Webサイトのページごとに、優先順位を決めましょう。

最初に目にすることが多いトップページで一番目立つメッセージは誰向けのものにするべきか、その他のページ(例えば採用ページではなど)はどうするのか、複数のお相手がいる場合でも、それぞれをしっかり分析してそれに合わせた「伝えること」と「伝わる言葉」を考え、その人の行動に合わせたページにその人向けの言葉を書いていくことで、複数の「誰」のそれぞれにしっかりと伝わるWebサイトを作ることができます。

いうのは簡単ですが、これも少し経験が必要かもしれませんが、まずは自分でやってみることをお勧めします。

言葉という表現が出てきます。もしかしたら「言葉以外にもデザインとか映像とかいろいろあるじゃないか」と思う方もいらっしゃると思いますが、デザインであっても映像や音声、写真やイラストであったとしても、それらは言葉として定義されているメッセージを伝える方法の一つであるわけで、あくまでも元は「言葉」であるという意味で使っています。