Webプロジェクトを停滞させない「社内合意形成」の進め方

Webサイトの刷新プロジェクトにおいて、担当者が最も頭を悩ませるのは、新しいデザインの方向性でもシステム要件の定義でもありません。「経営陣からの鶴の一声」や「営業部門からの強い要望」といった、社内の力学の調停です。
経営層は企業理念やビジョンを前面に出したいと考え、営業部門はリード獲得のために個別のサービス説明を網羅したいと求め、人事部門は採用広報を強化したいと主張します。これらの意見は各部門の立場からすればどれも正論ですが、明確な優先順位を持たずにすべての要望をひとつのWebサイトに詰め込んでしまうと、結果として「誰に何を伝えたいのか」がぼやけた、誰の意思決定も後押しできないサイトに陥ってしまいます。
意見の対立は、想定している「顧客」と「場面」のズレから生まれる
社内で「自社の強みは何か」を議論し始めると、「圧倒的な品質だ」「いや、柔軟な対応力だ」「長年続く信頼感だ」と意見が割れることがあります。非常に興味深いのは、これらの意見はどれも素晴らしい特長であり、何一つ間違いではないということです。
議論が噛み合わなくなる原因は、それぞれの部門が頭の中で「異なる顧客層」や「異なる検討フェーズ」を想定していることにあります。経営層が見据える投資家や決裁者と、営業現場が日々対峙している実務担当者とでは、求める判断材料が全く異なります。この前提のズレを放置したまま表現の議論に入ってしまうことが、プロジェクトが停滞する最大の要因です。
「誰の、どの意思決定を優先するか」という軸を定める
複数部門の要望をすべて盛り込んで失敗するのを防ぐためには、プロジェクトの初期段階において、「今回は誰の、どのような意思決定を最優先で後押しするのか」という主目的と副目的の整理を厳密に行う必要があります。
たとえば、現在の事業フェーズにおける最大の課題が「採用の強化」であれば、経営層が求めるIR情報や営業部門が求めるサービス詳細は副目的として位置づけ、導線を明確に切り分けます。この「判断の基準(軸)」を初期に社内で合意形成しておくことで、後から各部門から主観的な要望が噴出した際にも、「今回の最優先ターゲットの意思決定プロセスにおいては、その情報はノイズになるため別の階層に配置しましょう」と、論理的に調停することが可能になります。
社内視点から「顧客の理解順」という外部の物差しへ転換する
社内の合意形成をよりスムーズに進めるために有効なのは、「社内の誰の意見を通すか」という内部の力学から離れ、「顧客視点」という客観的な外部の物差しをプロジェクトに持ち込むことです。
企業側が「何を伝えたいか」ではなく、ターゲットとなる顧客が「限られた時間の中で、何を根拠に合理的な判断を下すのか」という評価軸に沿って、情報を配置する順序を決定します。顧客が自社の課題に関係があるかを直感的に判断し、他社との違いを理解し、不安を解消していくという「意思決定のプロセス」に沿って情報構造を設計することで、社内の多様な要望も「顧客の理解を助けるための適切な配置場所」へと自然と整理されていきます。
Webサイト構築は、組織の意思をひとつに揃える機会
Webサイトのリニューアルとは、単なるデジタルツールの制作プロジェクトではありません。社内外に散らばってしまった大切な想いや特長を、一本の太い「判断軸」へと揃えるための貴重な機会でもあります。
もし今、社内の意見がまとまらずにプロジェクトが前に進まないもどかしさを感じているなら、画面の構成案を議論する前に、一度立ち止まって「今回は誰の意思決定に一番寄り添うのか」を話し合ってみてください。その一つの合意形成こそが、社内の力学を調停し、事業を力強く前進させるWebサイトを生み出すための、最も確かな出発点になるはずです。
話はわかったけれど、できれば相談しながら進めたい。
ためになりそうな記事は読んだけど、実際に進めるにあたり全体の流れがわからない。
できれば自社に合わせて具体的なアドバイスが欲しい、手伝って欲しいなど、
状況に合わせてサポートをいたします。お気軽にご相談ください。
この記事を書いたひと

コラム推進チーム
南青山にあるWeb制作会社 GUCIO & Co.のディレクターチームです。普段さまざまな企業の方のお話を聞いている私たちだから山ほどある「伝えたいこと」を、AIのチカラを少し借りて記事にしています。新しいテクノロジーに助けてもらいつつ、お客様に役立つ情報をどれくらい発信できるのかを確かめたくて、継続的に記事を掲載していきます。もしも情報の内容などでお気づきのことがありましたら、どうぞ遠慮なくお問い合わせフォームよりご連絡をお願いいたします。