顧客からいただく言葉の「奥」にあるものを知る

自社の強みを考えるとき、顧客に言われた言葉を手がかりにすることは多いと思います。「対応が丁寧ですね」「レスポンスが早くて助かります」。実際に顧客の口から出た言葉ですから、これを強みだと考えるのは自然なことです。

今回は、その言葉を疑いましょうという話ではありません。顧客の言葉が生まれてくる背景を考えてみると、言葉の受け取り方が変わってくる、という話です。

「良かった点」は、敢えて言うならばの言葉

顧客が「対応が丁寧」と答えてくれるとき、その言葉が出てきた状況を想像してみます。

多くの場合、顧客は製品やサービスそのものには、おおむね満足しています。機能や品質への満足は、取引が続いている時点で当たり前の土台になっていて、わざわざ言葉にはなりません。そこで「良かった点は?」と聞かれると、顧客は敢えて言うならばという発想で、言葉にしやすいことを答えます。土台の上に乗っている、目につきやすい部分——人の対応や、やりとりの印象です。

つまり「対応が丁寧」という言葉は、嘘ではないけれど、選ばれている理由の全体でもありません。いろいろな背景や事情があった上で、最終的に表面に出てきた言葉です。表面に出てきた言葉だけを集めても、本当の「良かったところ」は分からないのです。

悪かった言葉は調べるけれど、良かった言葉は疑わない

面白いことに、これが不満やクレームであれば、人は自然と原因を調べます。「納期が遅れた」と言われれば、なぜ遅れたのか、どこに問題があったのかを探しにいきます。悪かった言葉は出来事とセットで出てくることが多いので、調べる手がかりもあります。

ところが、良かった言葉は逆です。「対応が丁寧」は出来事ではなく印象として出てくるので、手がかりが少ない。しかも褒め言葉なので、聞いた側は嬉しくて、そこで受け取りが終わります。「そうか、うちは対応が良いのか」と。誰も、褒められた理由を調べようとはしません。

その結果、何が起きるか。弱みは調べられて改善されていくのに、強みは表面の言葉のまま、本当の中身が分からずに残ります。自社の強みの方が、弱みより見えていない。多くの会社で起きていることだと思います。

人から出てくる言葉は「本質への入り口」

では、どうするか。顧客の言葉を、答えとしてではなく、入り口として扱ってみることを提案したいのです。

「対応が丁寧、と言ってもらえたのは、どの場面のことだろう」「あの顧客は、以前どんな取引先と付き合っていたのだろう」「同じことを他社もやっているはずなのに、うちが褒められたのはなぜだろう」。言葉の奥に降りていくと、その先に、選ばれている本当の理由が見えてきます。それは「困ったときの動きが他社と違う」かもしれないし、「担当者が事業の中身まで理解して話す」かもしれない。同じ「対応が丁寧」でも、奥にあるものは会社ごとに違います。

そして、奥まで降りて見つけたものこそが、Webサイトや営業資料で語る価値のある、本当の強みです。表面の言葉のまま「対応が丁寧です」と書いても、他社と同じ言葉にしかなりませんが、奥にあるものは、その会社にしかない話になるからです。

褒められた言葉を調べてみては

顧客に言われた「良かった言葉」を、一つ思い出してみてください。そして、こう考えてみてください。それは、どんな状況で、なぜ出てきた言葉だったのだろう、と。

すぐに答えが出なくても大丈夫です。「分からない」と気づくことが、本当の強みを探す最初の一歩になります。


話はわかったけれど、できれば相談しながら進めたい。

ためになりそうな記事は読んだけど、実際に進めるにあたり全体の流れがわからない。
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